海洋酸性化の原因とその影響に対処することは、海洋生物の保全、地球と社会の全体的な健康のために不可欠である。海洋酸性化の影響を理解し、緩和し、適応することで、私たちは海洋の健康と回復力、そして人間を含む海洋に依存する無数の生物種を守ることができる。
しかし、その影響を緩和し適応するための、広く適用された実用的な解決策はまだ不足している。このことを認識し、世界海洋酸性化観測ネットワーク(GOA-ON)を中心とする世界の海洋酸性化科学コミュニティは、「海洋の10年」の呼びかけに応え、我々が望む海洋のために必要な海洋酸性化科学のロードマップを提示した(Dobson et al 2022)。このビジョンである「持続可能性のための海洋酸性化(OARS)」プログラムは、2021年に国連「海洋の10年」によって正式に承認された。このプログラムは、持続可能な開発目標(SDG)の目標14.3「 あらゆるレベルでの科学的協力の強化を含め、海洋酸性化の影響を最小化し、 対処する」に向けた行動の青写真を提供するもので ある。
海洋酸性化を持続的に特定、監視、緩和、適応するために必要な観測的・科学的証拠を社会に提供するというOARSのビジョンを実現するために、ローカルからグローバルなスケールまで、7つの成果が定義された。
本テクニカルレポートは、科学者、科学コミュニケーター、政策立案者、利害関係者といった海洋コミュニティ全体のために、これらの成果を達成するために必要となる、関連する成果、活動、イネイブラー(実現可能な手段)を示したものである。