主導機関:
アクヴァプラン・ニヴァ - ノルウェー
南極氷床(AIS)は大量の淡水を蓄えている。もし完全に溶けてしまえば、地球の平均海面上昇に58m寄与することになる。IPCC AR6によると、AISのプロセスに関連する不確実性が大きいため、高排出シナリオの下では、2150年までに最大5mの上昇を否定することはできない。このような強力な海面上昇は、世界中の多くの低平地にとって壊滅的な打撃を与えるだろうが、その可能性はどの程度あるのだろうか?
AISは、主に積雪によって質量を増加させ、氷山の分水と海洋による浮遊部分の基底融解によって質量を失う。AISの質量バランスの将来予測は、気候モデルの出力に強制された氷床モデルのシミュレーションに基づいている。気候モデルは、大規模な気候変動は適切に予測できるが、氷床縁辺に熱をもたらす小規模な沿岸プロセスを表現するのに苦労している。このため、海底融解の表現が不十分であり、海面上昇に対する南極の寄与予測に大きな不確実性をもたらしている。気候モデルはまた、ドロニング・モード・ランドにおける気候温暖化下での質量変化を補償することを示唆している。
このプロジェクトは、氷河学と海洋学、高度な数値モデリングと統計解析技術を結集し、海面上昇予測におけるこの2つの重要な不確実性に対処するものである:
- 海洋モデルのダウンスケーリングと統計的エミュレーションを組み合わせたアプローチにより、将来の海洋によるAISの質量損失をより正確に評価し、海面上昇への寄与の不確実性を低減することができる。
- ノルウェーが管理する南極大陸のドロニング・モード・ランド領域における氷の質量収支と氷床の移動について、我々の地域精細解像度の氷床・海洋結合モデルによって改善された予測が可能になった。
私たちのプロジェクトの成果は、氷床の海水準への寄与に関する将来の評価に直接貢献し、「海洋の10年」の目標の2つ、「予測される海洋」と「アクセス可能な海洋」に取り組むことになる。
開始日:2024年01月01日
終了日:2027年12月31日
リード・コンタクト秦周(qin@akvaplan.niva.no)